アルブミン(ALB)とは、「血清」に含まれているたんぱくの主成分のひとつです。
血清たんぱくは膨大な種類が存在し、実に100種類以上の血清たんぱくの種類がありますが、その大半は以下の2種類のグーループに属している点が大きな特徴であると言えます。
【血清蛋白の主な分類】
☆アルブミン(A)
☆グロブリン(G)
血液検査等の検査結果用紙に記載されている「A/G比」とは、このアルブミンとグロブリンの比率の事を指しております。
血液検査、もしくは尿検査でアルブミンの測定が行われる主なケースとしては肝臓系疾患や肝機能の状態の確認、また腎臓疾患や腎機能の状態の確認をする目的で検査が行われるケースが大半です。
今回は、アルブミンの検査の検査数値の見方、そして検査結果からどのような事が解るのか。更に検査結果から疑われる疾患の可能性について確認していきましょう。
目次
アルブミン血液検査では、「アルブミンの血中濃度」と「A/G比」の測定を行い、肝機能や腎機能の働きを確認する指標とします。
尚、A/G比は通常アルブミンが67パーセント。そしてグロブリンが33%となっており、A/G比検査ではこの比率をもとにアルブミンの割合を測定します。
アルブミンの検査では血液中のアルブミン濃度を測定する血液検査と、尿中に漏れでている量(尿中アルブミン量)を測定する尿検査が行われます。
※通常時のアルブミン・グロブリン比は「67/33」が基本
アルブミン血液検査が行われるケースについて見ていきましょう。
血液検査などでアルブミン数値などを含む血清たんぱくの血中量を測定するケースは、主に
☆肝機能
☆腎機能
などの肝臓及び腎臓の機能・働き具合の確認を行うケース、もしくは「グロブリンの代謝量」などを確認する目的で検査が実施されます。
健常児の「A/G比」はほぼ一定の範囲の濃度比率を示しますが、その比率が大きく逸脱するケースにおいては、感染症や肝炎、そして「腎機能障害」などを発症している可能性が大きくなります。
特に腎臓の場合は「慢性腎炎」に発展している場合、腎臓の糸球体の機能が徐々に低下し、尿中にたんぱく質が漏れ出てしまうようになる為、血中内のたんぱく質濃度が低下します。
尚、血清アルブミンの血液検査で異常値を示す場合は新たに「血清たんぱく分画」を測定する更に詳しい検査を行うのが通常です。
血清アルブミン血液検査A/G比の一般的な正常値の範囲、基準値の範囲について見ていきましょう。
ここで掲載する数値の範囲は、一般的なA/G比率とアルブミン血中濃度の基準値の指標です。
仮に基準値内であっても、疾患の可能性がない、自覚症状が見られても基準値内である為、病気の可能性がない、という訳ではもちろんありません。
尚、A/G比の血液検査では、「血液中」のアルブミン含有量の割合を測定します。
アルブミン血液検査A/G比の一般的な 正常値、基準値の範囲 | ||
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血清検査の種類 | 単位(g/ml) | |
アルブミン(ALB)の基準値の範囲 | 4.10~5.10 | |
A/G比の基準値の範囲 | 1.22~2.13 | |
総たんぱく(TP)の基準値の範囲 | 6.70~8.32 |
尚、基準値の範囲は臨床検査を行う施設や測定方法により異なります。一般的な指標の範囲としてご確認ください。
続いて、検査結果が正常値から外れてしまっている場合やA/G比が極端に偏っている場合に考えられる疾患の可能性や、他の疾患との関連性について確認していきましょう。
血液検査の結果、アルブミンのA/G比が基準値の範囲よりも高くなっている場合。
このようなケースでは、グロブリンの生成能力が低下している可能性が検討されます。
グロブリンの比率が高い検査値を示す場合に疑われる疾患のひとつに「低グロブリン血症」があります。
その為、検査結果数値の比率が高値を示す場合はまず最初に低グロブリン血症の可能性を検討していくことになります。
また、A/G比が極端に高い数値を示すケースでは、グロブリンの生成がまったくなされなくなる「無グロブリン血症」を発症している可能性が検討されます。
A/G比が高値を示すケースの大半は、「低グロブリン血症」によるものですから医師と相談の上、適切な治療を行っていくことが大切です。
血液検査の結果、アルブミンのA/G比が基準値の範囲よりも低くなっている場合のケースについても見ていきましょう。
このように検査値の数値が基準値よりも低値を示しているケースでは「低アルブミン血症」の可能性が検討されます。
低アルブミン血症をまねく要因は様々な要因が考えられますが、一般的に以下の病気及び症状を発症している際に発症の可能性が検討されます。
【低アルブミン血症の発症の可能性のある疾患】
☆肝機能疾患
☆栄養不足
☆膠原病
☆悪性リンパ種
☆関節リウマチ
☆慢性感染症
☆ネフローゼ症候群
アルブミンの数値が基準値よりも大きく下回っているようなケースでは上記に記載した病気を既に発症している可能性も検討される為、医師と相談の上、次の検査を行うのか?どのような病気を発症していることが想定されるのか?という点についてしっかりと確認しておくことが大切になります。
また、肝臓でのアルブミンの合成が正常に機能している場合であっても「アルブミンの消費の亢進」が認められる場合は、低アルブミン血症を発症する要因ともなります。(※亢進=速い)