◆クレアチニンとは?
クレアチニンとは、筋肉運動のエネルギーとして代謝される「クレアチン」の代謝後に残る老廃物のことです。
クレアチンは主に、無酸素運動などの負荷の高い運動の際に主力して消費するアミノ酸で筋力トレーニングにおける栄養学において重要な位置を占めている成分でもあります。
※クレアチニンはクレアチンが燃焼した際に発生する代謝産物である
スポーツアスリートなどで筋力トレーニングを行っている方の場合は、クレアチンモノハイドレイドなどパウダー状の栄養補助食品や、タブレットタイプの錠剤を意識的に摂取しているアスリートの方もいるかもしれません。
クレアチンは体内で生成されますが、その量はごく微量であり、短時間の無酸素運動を行うと直ぐに枯渇してしまう特徴があります。
ここからは、クレアチニン検査の検査数値の見方、そしてクレアチニン数値と腎臓疾患の関連性、更に検査結果から疑われる疾患の可能性について確認していきましょう。
目次
腎臓の濾過機能について見ていきましょう。
クレアチンが代謝された後の、クレアチニン老廃物は「腎臓のろ過機能」によってろ過されたのち、尿とともに体外へ排出されます。
※クレアチニンは尿と共に体外へ排出される
腎臓ではこの体内の血液の濾過を休むことなく行っており、糸球体と呼ばれる濾過設備がこの役割を担っております。
尚、この糸球体が1日に行う血清の濾過量は100リットルを超え、実質その1部のみが尿として排泄されていることになります。
しかし、何らかの原因で腎機能に異常をきたしている場合は、クレアチニンの排泄が正常に行われずに体内に蓄積し血中内の「クレアチニン濃度」が上昇するなどの症状を発症することがあります。
クレアチニン血液検査ではこのように血清中のクレアチニン濃度を測定することで腎機能が正常に機能しているかどうか?をチェックします。
また、排泄された尿に含まれているクレアチニン量を測定することでも腎機能を確認することが同様に可能です。
血液中のクレアチニン含有量を測定する検査を主に血清クレアチニン測定検査、尿中のクレアチニン含有量を測定する検査を尿中クレアチニン測定検査と呼びます。
~ポイントのまとめ~
★クレアチニンはクレアチンの代謝産物である
★クレアチニン検査は腎臓の濾過機能をチェックする指標となる
★検査には血清含有量を測定する血清検査と尿中含有量を測定する尿中検査がある
血清クレアチニン血液検査はどのような目的で検査が実施されるのでしょうか?
ここではまず検査が行われるケースについて見ていきましょう。
クレアチニン血液検査は、主に
●腎臓病
●急性腎不全
●慢性腎不全
などの腎機能障害の可能性を確認する際にクレアチニン血液検査が実施されます。
【クレアチニン検査が行われる対象疾患の一覧】 | |
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項目 | 解説 |
クレアチニン検査が行われる対象疾患の一覧 | 腎臓病(腎機能障害をもたらす疾患) |
急性腎不全(腎機能が急速に衰える疾患) | |
慢性腎不全(失われた腎機能は回復しない為、現状維持を目指す。最終的に人工透析が必要となるケースも多い。) |
クレアチニン血液検査は、主に腎臓疾患によってクレアチニンの排泄が正常に行われているかどうかをチェックする検査です。
腎機能に異常が生じている場合、もしくは機能不全症となっているケースでは腎機能障害が要因であるケースが大半を占めます。
また、血清クレアチニン血液検査では、腎臓以外の臓器の影響をうけることはほとんどありません。
その為、腎臓の「スクリーニング検査」としても比較的一般的に検査が実施されております。
何らかの腎機能障害を既に発症しており治療を開始している場合。
このようなケースでは、治療の効果や回復過程を測定する検査を行う必要性が出てきます。
クレアチニン検査では、腎臓の機能が既に弱っているようなケースでは数値としてチェックを行うことは可能です。
しかし腎機能の定期検査などのケースで今まで一度も検査に引っ掛かったことがないような健康な方の場合は初期段階の詳しい腎機能測定検査を行うことはできません。
この場合は、クレアチニンクリアランス検査と呼ばれる、より細かい数値の測定検査が必要となります。
~ポイントのまとめ~
★クレアチニン測定数値は腎臓病・急性腎不全・慢性腎不全の指標となる
★より細かい数値の測定はクレアチニンクリアランス検査で行う
血清クレアチニン検査値の一般的な正常値の範囲、基準値の範囲について見ていきましょう。
以下に掲載する数値の範囲は、一般的な血清クレアチニン検査値の基準値の指標です。
仮に基準値内であっても、疾患の可能性がないという訳ではもちろんありません。
尚、血清クレアチニン血液検査では、「血液中」の血清クレアチニン含有量を測定します。
血清クレアチニン検査の結果血中クレアチニン濃度が高いと判断された場合は、基本的に腎臓系の疾患及び腎機能障害の可能性を検討することになります。血清クレアチニン濃度が高い場合に疑われる疾患の可能性はこちらにまとめてあります。
但し、検査結果はその日の体調等によっても異なるので、検査当日の体調管理をしっかり行うようにしておくことが大切です。
特に風邪などで脱水症状を起こしているケースや大きな出血を伴った場合は検査日をずらした方が無難です。
逆に血中クレアチニン濃度が極端に低いケースでは筋ジストロフィーと呼ばれる、筋肉が萎縮する疾患の可能性が検討されます。
【血清クレアチニン検査値の基準値表】 | ||
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範囲 | 男性(mg/dl) | 女性(mg/dl) |
要注意・危険性の高い範囲 | 1.6以上 | 1.2以上 |
上昇が認められる範囲 | 1.2~1.5 | 0.9~1.1 |
基準値の範囲 | 0.6~1.1 | 0.4~0.8 |
低下が認められる範囲 | 0.6以下 | 0.4以下 |