脳波検査が行われるケースについて見ていきましょう。
脳波検査は、主に
●脳腫瘍
●脳血管障害
●脳炎
●脳症
などの脳疾患の可能性が検討される場合に脳波検査が実施されます。
また、子供・小児・乳児の場合では
●チック症
●転倒などによる頭部外傷
が見られる場合にも脳波検査が実施されます。
脳波検査は、頭部に10数個の電極をつけ、脳から発信されている微弱な電気信号をとらえモニターに御表示します。
人間の脳は「大脳」・「中脳」・「小脳」・「脳幹」など、複数の部位にわかれ、それらが頭がい骨内に集まって構成されております。
この中でも大脳は
●前頭葉
●頭頂葉
●側頭葉
●後頭葉
に分かれ、それぞれが独自の働きを担っております。
脳波検査では、複数の部位に電極をつけ、どの部分の電気信号の波形の異常が見られるかを確認することで、異常のある部位を検討していきます。
尚、各大脳組織はそれぞれ主な働きがありますので下記にまとめます。
大脳(部位別)の主な働き一覧表 | |
---|---|
大脳の部位 | 主な働き |
頭頂葉 | 味覚 |
知覚 | |
認知力 | |
触覚(皮膚感覚) | |
側頭葉 | 聴覚 |
聴覚性言語(言葉を理解する能力) | |
感情 | |
情緒コントロール力 | |
後頭葉 | 視覚(観察力) |
判断力 | |
前頭葉 | 思考力 |
判断力 | |
記憶力 | |
運動能力 | |
計算能力 | |
言語力(話す能力) |
脳波の正常波形と異常波形のちがいについて見ていきましょう。
通常、安静時の人の脳波は10hz(ヘルツ)程度のα波(アルファー波)と呼ばれる脳波が、規則的に確認されます。
しかし、脳神経細胞に何らかの異常が確認されると波形に乱れが生じ、上下に乱高下するような脳波が確認されます。(※上記右側の図参照)
この脳波には、その疾患によっていくつかの脳波パターンがあるため、その波形から疾患の可能性を検討することも可能です。
但し、検討の範囲であり当然、断定には至りません。
てんかん発作は、日本国内だけでも100万人以上の患者がいると言われる有名な疾患です。
てんかん発作では痙攣症状をもたらすことから、重病のイメージとして恐れられている疾患でもありますが、実際に生命に関わる発作を発症するケースはごくわずかです。
脳波検査の結果から小児てんかんなどの可能性を指摘されるケースでは「α波(アルファー波)」の波形に、下降状態が一定期間確認されるケースです。
このように、一定期間波形が下降している場合は、「無呼吸状態」などが存在する可能性もあることから、更に詳しい
★CT検査
★MRI検査(もしくはMRA検査)
を行い、脳の状態を確認してくことになります。
CT検査とは、脳の状態をX線を用いた画像診断装置で撮影する検査のことです。
皮膚の切開を必要とせずに脳の状態を確認することができます。
MRI検査のMRIとは、
●磁気共鳴画像診断
の略のことで、CT同様に皮膚の切開を必要とせずに脳の断面を確認することができます。
尚、MRIでは、設定によって脳の断面をあらゆる方向から確認することも可能です。
MRAとは、基本的にはMRI検査と同様ですが、近年の医療機器技術の向上により、コンピューターグラフィックス技術を駆使することによって、
●脳内血管の状態
を三次元立体映像で画像化することが可能な装置を使用した検査となります。