血清鉄とは、体内の血清中に含まれている鉄分のことを言います。
体内の鉄分量を測定する際に行われる血液検査がFe血清鉄検査となります。
検査では、血液を採取し遠心分離機などで血液を沈殿物と血清に分離し、血清部分の鉄分量を測定していきます。(透明に近い液体)
血液中に含まれている「鉄分の含有量の比率」を測定する検査が鉄の血液検査です。
血液中の鉄分は「トランスフェリン」と呼ばれる蛋白質と結合することで血中内に存在しております。
トランスフェリンは血液内において鉄分の運搬をする働きをもっている蛋白質です。
尚、血漿中のトランスフェリンが鉄分と結合できる総量をTIBC(総鉄結合能)と呼び、まだ鉄分と結合していないトランスフェリンの量をUIBC(不飽和鉄結合能)と呼びます。
◆TIBC(総鉄結合能)⇒トランスフェリンが鉄分と結合できる総量
◆UIBC(不飽和鉄結合能)⇒未結合のトランスフェリンの量
血清鉄は体内のトランスフェリンのおよそ3分の1と結合しております。
血清鉄が金属性蛋白質に分類されるのは、このトランスフェリンと結合している為です。
尚、残りの3分の2のトランスフェリンは不飽和鉄結合能(UIBC)であるのが通常です。
~ポイントのまとめ~
★血清鉄とは血清部分に含有される鉄分量
★トランスフェリンは血液中で鉄分の運搬を行う
★TIBC(総鉄結合能)はおよそ3分の1
血清鉄血液検査はどのような目的で検査がおこなわれるのでしょうか?
一般的には、健康診断や人間ドックなどの定期健診などで初めて血清鉄の検査を受けた方が大半かと思います。
ここでは、定期健診ではなく、疾患の可能性を検討する際に検査が行われるケースについて見ていきましょう。
尚、血清鉄血液検査は主に以下のような、疾患の可能性を検討する際に血清鉄血液検査が実施されます。
★鉄欠乏性貧血
★感染症
★ヘモクロマトーシス
★肝機能障害
血清鉄は赤血球細胞に取り込まれる形で血液に溶け込み体内を循環します。
その為、赤血球の影響を大きく反映し、赤血球が死滅すると取り込まれていた血清鉄分子も死滅します。
尚赤血球のの寿命は一般的に「120日程度」が寿命と言われております。
その為、120日前に生み出された赤血球は毎日のようになくなっていくので食事などで鉄分を適量補給することが大切です。
体内の血清鉄が不足すると、「鉄欠乏性貧血」などの貧血症状を発症することに繋がります。
鉄分を豊富に含む食品のレシピを見たことがあるでしょうか?
一度でも目にしたことがある方は、レバーを中心としたメニューが多いことに気づきましたね。
レバーを取り入れたメニューが毎日のように食卓に出てくることはないと思いますが、成長期の子供やスポーツを活発に行う子供がいる家庭ではレバーを取り入れた料理を週に1度は取り入れたいものです。
これはレバーが鉄分を多く含む食材であることも要因にありますが、レバーが吸収率の高い食材である点も見逃せません。
では、レバーが鉄分を多く含んでいるのは何故でしょうか?
レバーは肝臓にあたる部分ですが、肝臓には貯蔵鉄と呼ばれる鉄分の倉庫があります。
そのためレバーは鉄分を豊富に含む食材として取り入れられているのですね。
※レバーは貯蔵鉄を含む為鉄分含有量が高い
血清鉄検査値の一般的な正常値の範囲、基準値の範囲について見ていきましょう。
ここで掲載する数値の範囲は、一般的な血清鉄検査値の基準値の指標です。
仮に基準値内であっても、疾患の可能性がないという訳ではありません。
尚、血清鉄血液検査では、「血液中」の血清鉄含有量を測定します。
標準検査単位は(μg/dl)となります。
血清鉄は主に貧血症などの症状を発症しているかどうかをチェックする際に行われる検査です。
尚、血清鉄は性別によって基準範囲が異なり、統計的に男性は女性よりも数値が高くなります。
女性は、月経期には更に低い数値を示す傾向にあり、体調や検査当日の状況によっても数値は変動します。
また、検査基準値の範囲は臨床検査を行う施設や医療機関によっても指標が若干異なるケースがあります。
血液採取時の姿勢や測定方法によっても変化を見せるケースがある為、1度の測定で疾患を結論づける事はもちろんできません。
血液検査は体調によっても異なる事がわかってきたところで早速一般の基準値範囲をチェックしておきましょう。
体調によって変化あるもののやはり大きく逸脱することはありませんので、基準の指標として以下の数値を覚えておくと便利でしょう。
表はわかりやすいように性別で指標を分けております。
【血清鉄検査値の基準値表】 | ||
---|---|---|
範囲 | 男性(μg/dl) | 女性(μg/dl) |
上昇が認められる範囲 | 160以上 | 140以上 |
基準値の範囲 | 70~160 | 45~140 |
低下が認められる範囲 | 70以下 | 45以下 |