検査の基準値・正常値のまとめ

【ヘリコバクター・ピロリ抗体検査の検査法】

検査ぶっく♪ではヘリコバクター・ピロリ抗体検査の検査法・胃がん・十二指腸潰瘍の可能性および除菌療法について入門者向きに解説しております。

◆ヘリコバクター・ピロリ抗体検査のまとめ♪(もくじ)

◆ヘリコバクター・ピロリ菌とは?

ヘリコバクター・ピロリ菌とは、強い酸性の胃の中で生息場所とし胃炎や胃潰瘍、そして胃がんなどの原因菌として活動する細菌類の一種のことです。

このヘリコバクター・ピロリ菌が発見されるまでは強い酸性の胃の内部では細菌類が生存していくことは不可能であると考えられていた時代がありました。

その為、胃炎や胃潰瘍などの発症原因は明確な原因を掴むことができずに、医療がいようとしてはストレスが胃炎や胃潰瘍を発症する最大の原因のひとつであると認識されていた時期もあります。

しかし、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、そして胃がんなどの発症者の多くはヘリコバクター・ピロリ菌を保有している事が明らかになりつつある現代では、これらの病気の最大の原因菌としてヘリコバクター・ピロリの活動が関与している事が認識されるようになってきております。

◆ヘリコバクター・ピロリの感染経路

ヘリコバクター・ピロリ菌は感染すると生涯に渡り持続感染をし、除菌を行わない場合は度々炎症を引き起こす細菌であることが確認されております。

感染経路は主に経口感染による感染が主体であり、糞便感染などを通じる接触感染などの可能性も検討されておりますが、明確な感染経路はまだ解明されていない部分があります。

尚、ヘリコバクターピロリ菌の菌保有者は世界の40%以上と言われており、特に高齢者の菌保有率が非常に高い保有率を誇っている点も見逃せない特徴の1つです。

高齢者に特に保菌者が多い原因は、まだ衛生環境が整っていなかった戦後の時期に細菌感染が流行した可能性が高いとされており、実際に若年層世代の感染率は60代以上の高齢者と比較すると半分以下の感染率であると言われております。

ピロリ菌保有率の比較(画像)

また世界的にもピロリ菌保有者は減少傾向にあると言われておりますが、これは衛生面が整っている先進国で減少しているだけであり衛生環境面が整っていない地域では大きな変化は見られないという報告もあります。

これは多くの細菌感染症同様にピロリ菌に関しても衛生面が大きな影響を与える事を示していると言っても良いでしょう。

◆検査法・検査内容について

ヘリコバクター・ピロリに感染しているかどうかを確認する検査は幾つかの種類がありますが、最も広く行われている検査は「IgG抗体検査」です。

私たちの体は体内にウイルスや細菌類が侵入すると免疫細胞が感知し、すぐにウイルスや細菌に対する免疫抗体の作成を始めます。

この免疫システムの構築という防衛反応のメカニズムを利用し、ヘリコバクター・ピロリに対する抗体(IgG)が血液中にどの程度含まれているかを測定し、一定基準値を超える抗体が見つかった場合はヘリコバクター・ピロリに感染している可能性が高いと診断されます。

◆ピロリ菌抗体検査の基準値・正常値

ヘリコバクター・ピロリ抗体検査の一般的な正常値の範囲、基準値の範囲について見ていきましょう。

ヘリコバクター・ピロリ抗体検査では血液(血清)を採取し検査が行われますが仮に基準値内であっても、他の疾患の可能性やピロリ菌の感染の可能性がないという訳ではもちろんありません。

単位は(U/ml)で示します。※液体1mL中のピロリ菌抗体(IgG)の量

【ピロリ菌抗体検査の基準値の範囲一覧表】
数値の範囲U/ml
感染の疑いがある範囲10.0以上
正常値9.9以下

血液検査によってIgG抗体の含有率を測定する検査ではピロリ菌の感染に関して診断の確定を行うことはできません。

しかし、基準値を逸脱した大きく上回るような検査結果となった場合は高い確率で感染の可能性が検討できます。

◆除菌療法と保険診療

ヘリコバクター・ピロリの治療は現在、保険診療の対象となっており抗生物質を利用した治療が行われております。

基本的な治療方法は抗生物質を7日間継続して服用し、除菌率を確認する形で行われます。

但し約3割り程度の割合で1次除菌でしっかり除去できないケースが発生するため、その場合は2次除菌を行いピロリ菌の除菌を行います。

尚、稀に2次除菌療法においても除菌に失敗するケースが確認されており、3次除菌療法から保険診療対象外となるため、全て実費で治療を行わなくてはいけません。