血小板検査では血小板の数値を確認する事で幅広い疾患の可能性や健康状態を推測する指標となります。
特に鉄欠乏性貧血などの月経期の女性の健康状態や、感染症の有無などの確認では比較的広く行われる検査項目です。
尚、血小板の平均値は幅広い範囲で個人差もある為、複数の検査を考慮し疾患の可能性を検討する事になります。
今回は、血小板数検査の検査数値の見方、そして検査結果からどのような事が解るのか。更に検査結果から疑われる疾患の可能性について確認していきましょう。
目次
血小板とは、血液の成分のひとつで「止血」の働きをもつ成分です。
皮膚や皮下組織に出血をもたらすと、血中内の血小板は傷を負った部位を察知しすぐに傷ついた血管壁に集まります。
血小板はねばねばとした粘着性をもつ成分です。
この粘着性をもつ特性を活かして、集まった血小板は互いがくっつきあうことで傷ついた血管壁を修復しながら出血を食い止めていきます。
傷口は血小板の働きによって傷口の血液が凝固され、私たちが認識する「止血」の終了です。
この血小板の働きは血液の凝固作用とも呼ばれます。
※複数の血小板が結合し傷口を修復する
血小板は血液の凝固作用があることがわかりました。
「では血小板がもしなかったらどうなるのでしょうか?」
これは創造がつくと思いますが、傷口がサラサラとした状態であれば当然止血が出来ない状態になります。
血小板の数が少なくなっている場合は、同様に出血時間が長くなり止血がしにくい状態にあると言えます。
※血小板数が少ない場合は止血に時間がかかる
では逆に血小板の量が増加しすぎた場合はどうなるでしょうか?
この場合は、確かに止血はしっかりと行うことはできるように思われるかもしれません。
しか血小板の血中濃度が増加しすぎた場合は、血小板の粘着性の働きによって血管を詰まらせる可能性が高くなってしまいます。
血液の粘度が向上することで、血液がどろどろとした血液になってしまうのですね。
サラサラの水のような血液が血管を流れるケースと、どろどろのゼリーのような血液が血管を流れるケースをイメージするとわかりやすいかもしれません。
血小板が極端に増加すると、血管が詰まり血栓を引き起こしやすくなってしまうので増加している場合でも注意が必要です。
~ポイントのまとめ~
★血小板数の減少しすぎても増加しすぎても危険である
★増加しすぎた場合は血栓を発症する要因ともなる
血小板血液検査が行われるケースについて見ていきましょう。
血小板数を血液検査で測定する目的は、基本的に
☆止血機能
☆止血能力
の2点の機能及び能力を確認する際に血液検査が実施されます。
しかし、近年では様々な疾患の発病に伴い血小板数の増減が見られることが確認されてきており、主に血液中の血小板数をチェックすることで疾患の可能性を検討する指標として検査が実施されるようになってきております。
尚、血液の凝固因子であるプロトロンビンを使用して凝固時間を測定するプロトロンビン時間も血小板の異常を検査する指標となります。
血小板は血液の重要な成分であり、血小板の増加や減少に伴って疾患を推測することが可能です。
血小板数の増減によって疾患の可能性が検討される疾患には以下のような疾患があります。
これらの疾患の可能性が疑われるケースでも血小板数値の測定が行われているのですね。
~血小板測定検査で検討される疾患~
●慢性骨髄性白血病
●血小板減少症
●本態性血小板血症
●真性赤血球増加症
●鉄欠乏性貧血症
●感染症
●肝機能疾患
●膠原病
●血小板減少性紫斑病
血小板は血液の凝固作用という人体にとって非常に重要な役割を果たす成分です。
しかし、この血小板は粘性という特性をもつことから、濃度比率が極端に高まると、血液の粘性を高めるという特徴も持っております。
一般的に広く認識されている血液がどろどろの状態とはコレステロールの蓄積によるものです。
しかし、骨髄からの造血によって生成される血小板数も血液の粘性には大きく関与します。
粘性が高まることによって最も危険性が高まるのは「血栓」の発症。
血栓とは文字通り血で血管に栓をしてしまうような状態の事を指し、血栓が出来ると脳梗塞などの危険性が急激に高まります。
近年は血液をサラサラにするという詠い文句のサプリメント製品が多く販売されるようになりましたが、実際にこれらの製品を使用する価値はあるのでしょうか?
当たり前ですがこれらのサプリメントは健康補助食品に分類される製品です。
効果には個人差もあり、あくまで健康の補助としての役割であることを認識することが重要です。
食品から摂取できるものは出来る限り食品から摂取する。
しかし例えば中性脂肪を減少し血液状態を向上させる効果があるとされるEPAなどを必要量食品から摂取しようとした場合。
EPAは魚に多く含まれて降りますが、食品だけからの摂取となると大量の食品を摂取する必要性が出てきます。
【検査ぶっく内参照記事】
EPAは中性脂肪値を低下させる働きをもっておりますがEPAを食材から摂取する場合はいくつかのポイントがあります。まず前項のEPAを多く含む食材表に記載されている魚を摂取する際…
⇒EPAとは?動脈硬化・中性脂肪の予防
これでは、自分の胃はもちろん「お財布」も持ちませんよね。
ある成分を必要量摂取したい場合の補助として健康食品を摂取する。
このような考えを念頭において今必要としている成分を勉強し必要分だけサプリメントを利用するなどの「個人的なルール」を定めた上で取り入れていく事が大切と言えるでしょう。
※健康補助食品は不足分だけ補うという観点が重要
血小板検査値の一般的な正常値の範囲、基準値の範囲について見ていきましょう。
以下に掲載する数値の範囲は、一般的な血小板検査値の基準値の指標です。仮に基準値内であっても、疾患の可能性がないという訳ではありません。
血小板数の標準的な数値はおよそ15万~35万と幅広い範囲となっております。大きく逸脱して離れていない限り大きな心配は必要ありません。
また検査する検査機関や担当の医師によっても範囲が若干異なるケースもありますので詳しい数値は担当の医師に確認してみましょう。
血小板数は疾患によって大きく数値を変化させます。
特に慢性骨髄性白血病などの病気の場合は、100万/μlを越えてくるケースもあり、場合によっては200万/μlを超えてくるケースもあります。
病院で検査を受ける場合は、幾つかの検査を得たうえで合わせて血小板検査を行っていた。というケースが大半ではないでしょうか?
何らかの疾患の可能性があり、複数の血液検査を同時に行い検査結果を羅列で説明されるようなケースも多くあります。
その場では医師から簡潔に、Aの検査結果は問題なし、Bはやや高いが問題なし、次にCは…
という形で説明を受ける為、後になると思い出せないケースや、この数値が何を示しているのかがわからなくなるケースも多いものです。
以下の表は平均的な指標ですが、もし検査結果表がある場合は再度見直してみることをお勧めします。
【血小板数検査値の基準値の範囲一覧表】 | |
---|---|
範囲 | 単位(μl) |
要注意・危険性が認められる範囲 | 500,000以上 |
上昇が認められる範囲 | 400,000以上 |
基準値の範囲 | 150,000~350,000 |
低下が認められる範囲 | 150,000以下 |
要注意・危険性が認められる範囲 | 100,000以下 |
血液検査の結果、血小板検査値が基準値の範囲よりも高くなっている場合。
このようなケースでは、幾つかの疾患の可能性が検討されます。
まず最初に検討される疾患は骨髄性の疾患です。
骨髄に異常が発生し、血小板や白血球、赤血球などの成分を増加させてしまう疾患の総称として骨髄増殖性疾患があります。
この場合は、改めて骨髄検査を受けることが大切です。
また血小板が極度に高まっている場合には、血栓の可能性も検討していくことが重要です。
血小板が増加した際に検討される疾患には幾つかありますが、検査の結果高い数値を示した場合は
●慢性骨髄性白血病
●真性赤血球増加症
●鉄欠乏性貧血症
●本態性血小板血症
などの疾患を既に発症している可能性が検討されます。
特に長期間にわたり高値が継続して続く場合は慢性骨髄性白血病の可能性が検討されますので注意が必要です。
血液成分は血小板の他にも白血球や赤血球が主要成分で含まれており、それぞれの数値の上昇、下降が関連しあって何かしらの疾患の可能性を検討していくのが通常です。
血小板数は造血を行う機関である骨髄に関連する骨髄性疾患の可能性を検討する際は非常に重要な指標となります。
血小板はここまで解説してきたとおり、粘性が高い成分であり、多くの血小板が粘性という特性を活かしてくっつきあうことで傷口を塞ぎます。
サラサラとしたいかにも健康体の血液と呼ばれるものとは異なり、血小板はねばねばしていなくては役目は果たせません。
しかし、血液中の血小板比率が高くなりすぎる状態はやはり危険です。
血小板数が高値の場合は、血液の粘度が高まるため血栓をともなう
●脳梗塞
●心筋梗塞
の発症の可能性が高まることも確認されております。
~ポイントのまとめ~
☆血小板の増加が確認された場合は幾つかの疾患の可能性を検討する必要がある
☆血小板の増加に伴って血栓を発症する可能性も高まる
血小板検査の結果、血小板検査値が基準値の範囲よりも低くなっている場合のケースについて見ていきましょう。
このように検査値の数値が基準値よりも減少しているケースでは以下に項目の症状及び疾患を発症している可能性が検討されます。
~基準値以下のケースに疑われる主な疾患の一覧~
☆血小板減少性紫斑病
☆急性白血病
☆再生不良性貧血
☆肝硬変
☆偽性血小板減少症
☆抗がん剤の副作用
☆放射線治療の副作用
血小板減少性紫斑病は、出血性のあざが出来やすくなる特徴があり急性と慢性の2種類の血小板減少性紫斑病に分類されます。
最近青あざが出来やすい。もしくは治りにくいと感じた事がある場合。
このように内出血性の疾患が起こりやすい状態にある時は血小板数が減少している可能性があります。
この代表的な疾患としては「血小板減少性紫斑病」と呼ばれる疾患があります。
また子供では原因不明の鼻血による出血が続く。
一度出た鼻血が止まりにくい。
などの症状が1年以上続いているような場合は、血小板に関連する疾患の可能性がある為、専門機関で検査を受けることが大切です。
※内出血が治りにくい場合は血小板が減少している可能性も検討
血小板は血液中に含まれている成分です。
その為一度に大量に出血を伴った後は数値が安定せず低値を示す可能性があります。
また女性の場合は、月経の1~2週間前は血小板数値がやや減少してきます。
しかしこの場合は時間の経過と共に次第に血小板数も回復してきますので心配は必要ありません。
※月経1~2週間前は血小板数値が減少する