プロラクチンは脳下垂体から分泌される刺激ホルモンの一つで、脳下垂体に何かしらの異常がある場合にプロラクチンの検査数値がひとつの指標となります。
また、不妊治療を行っている場合はプロラクチン検査は定期的な検査項目のひとつとなっております。
今回は、プロラクチン検査の検査数値の見方、そして検査結果からどのような事が解るのか。更に検査結果から疑われる疾患の可能性について確認していきましょう。
プロラクチンとは、脳下垂体の前葉から分泌される「刺激ホルモン」の一つです。
プロラクチンは、主に「乳腺の発育」に大きく関与するホルモンで、女性の場合は「乳汁」の分泌に大きな影響を与える成分でもあります。
人体の「乳腺」は「腺房」と呼ばれる数多くの球状の組織で構成されており、乳汁は、この腺房から分泌されております。
男性の場合は
☆前立腺(ぜんりつせん)
☆精嚢腺(せいのうせん)
の発育にプロラクチンが関与します。
プロラクチン血液検査が行われるケースについて見ていきましょう。
プロラクチン血液検査は、主に
☆下垂体の異常の可能性
☆高プロラクチン血症の可能性
☆不妊症の可能性
☆甲状腺機能亢進の可能性
などを確認する際にプロラクチン検査が実施されます。
なかでも不妊治療の現場においては排卵をチェックする際にプロラクチン血液検査が実施されるケースが多く、検査結果の数値は様々な症状の可能性を検討するひとつの指標となります。
プロラクチンの一般的な正常値の範囲、基準値の範囲について見ていきましょう。
ここで掲載する数値の範囲は、一般的なプロラクチンの基準値の指標であり、仮に基準値内であっても、疾患の可能性や症状の可能性がないという訳ではありません。
尚、プロラクチン血液検査では、「血液中」のプロラクチン含有量を測定します。
【男性・女性のプロラクチン数値の基準値の範囲】 | ||
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性別 | 単位(ng/ml) | |
男性 | 3.6~12.8 | |
女性 | 6.12~30.54 | |
女性(閉経後) | 4.00~25.02 |
以上のようにプロラクチン数値は女性の方が数値がかなり高くなります。
特に出産直後は、プロラクチンの分泌が活発となり数値が向上し、閉経後は数値が減少する傾向にあります。
※検査基準値の範囲は臨床検査を行う施設や測定方法により異なります。
血液検査の結果、プロラクチンの数値が基準値の範囲よりも高くなっている場合。
このようなケースでは、男性の場合は
☆インポテンツ
☆性欲減少
などの症状を発症する可能性が検討されます。
これは、プロラクチンの過剰分泌によって、前立腺・精嚢腺に影響を与えるケースが確認されている為です。
また女性の場合は、
☆プロラクチン産生腫瘍(プロラクチノーマ)
☆排卵障害
☆末端肥大症
☆月経異常
☆不妊症
など「高プロラクチン血症」と呼ばれる症状を発症している可能性が検討されます。
また、甲状腺機能低下症などの患者が使用する「ドーパミン阻害薬」を使用している場合はプロラクチンの数値が上昇します。
血液検査の結果、プロラクチンの数値が基準値の範囲よりも低くなっている場合のケースについて見ていきましょう。
このように検査値の数値が基準値よりも減少しているケースでは、
☆脳下垂体機能低下症
☆シーハン症候群
☆甲状腺機能亢進症
などの可能性が検討されます。
下垂体機能低下症を発症している場合は、プロラクチンに限らず下垂体から分泌される様々な成分の分泌に影響を及ぼしている可能性があるので注意が必要です。
尚、ドーパミンとプロラクチンの分泌は相互関係にあることから、ドーパミン作動薬などのドーパミンの分泌を促進する作用をもつ薬剤を使用している場合は、プロラクチンの数値は低下します。