心臓は、安静時の場合、1分間の間におよそ50回~100回程度もの収縮と拡張を繰り返している筋肉です。
この心臓の拡張・収縮の際に、血液は全身にくまなく送り届けられます。
この全身に血液を送りだす際の拍動の回数を「心拍数」と呼びます。
心臓が血液を全身に送る際には全身の動脈に脈動(脈拍)が生じ、この動脈に生じる脈拍を測定するのが「脈拍数」の測定となります。
今回は、脈拍数の一般的な正常範囲、年齢別、性別の違い、更に頻脈・徐脈が見られる場合の疾患の可能性について確認していきましょう。
目次
前述したように厳密には、心拍数と脈拍数の定義は異なります。
しかし、一般的にはほぼ同意として使用されているのが現状です。
これは、脈拍数と心拍数は原則として同数値になる為です。
しかし、現実的には脈拍数と心拍数が異なるようなケースも見られます。
この原因としてあげられるのが「期外収縮」や「不整脈」など著しい頻脈が確認されるようなケースです。
このようなケースでは、心拍数に対して脈拍数が少なくなるケースがあります。
この心拍数よりも脈拍数が低下する症状を「脈の欠損」と呼んでおります。
心拍数・脈拍数ともに測定を行う場合は「1分間」を基準として測定していきます。
心拍数の数値は、ちょっとした行動によっても数値が大きく変動するケースがあります。
例えば「階段を登る」「歩行」のような日常生活に不可欠な運動の他、「緊張などによっても数値は上がります。
ですから安静時心拍数とも言われるように心拍数の測定は安静時に行うのが基本です。
尚、心臓はわずか1分間の間に、およそ5リットル以上の血液を常時送りとどけております。
脈拍数の測定のポイントについて見ていきましょう。
大半の方は脈拍数の測定を自分でおこなった経験が一度はあるはずです。
最も簡易的な測定方法は、手首の付け根部分の内側を指で触れる測定方法です。
大半の方が行ったことがある測定もおそらく手首の測定であると思います。
この手首の内側の部分の測定が一般的に行われているのは、脈を感じ取りやすい部分がちょうど手首の内側部分であるためです。
具体的には、「皮下組織の浅い部分」が脈拍を測りやすい部位であると言えます。
ですから、皮下組織が浅い手首の内側部分であれば、比較的誰でも脈拍を測りやすいと言えます。
手首の動脈から脈拍を測定する際のポイントは手首内側(手のひら側)の付け根部分、やや親指よりの部分に「人差し指と中指の先を軽く当てて測定するのがポイントです。
動脈へ触れる際は、「指の腹部分」を当ててみると脈動を感じやすくなります。
測定では基本的に1分間の測定を行うのが基本です。
しかし、簡易的にチェックを行う場合は、「15秒間の脈拍数」を測定し、その回数を4倍するなどの方法もあります。
尚、人間の呼吸サイクルの基本は、「4秒間に1回」の呼吸サイクルが基本です。
手首以外に皮下組織が浅く脈拍が計測しやすい部位としては「頚部」があげられます。
頚部で脈拍数の測定を行う場合は、「あごの角ばった部分の下部」で測定を行うのが基本です。
位置的には耳の真下に進んだあご骨の部分に内側から指を食い込ませると脈拍をはっきりと感じ取ることができます。
手首の測定ではうまく脈拍を感じ取れない場合は、頚部の測定で脈拍を測定してみると良いでしょう。
脈拍数の一般的な正常値の範囲、基準値の範囲について見ていきましょう。
ここで掲載する数値の範囲は、一般的な脈拍数の基準値の指標です。
測定時の状況によっても当然数値は異なり個人差がありますのでご了承ください。
【年代別脈拍数の一般的な正常値、基準値の範囲】 | |
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年代 | 単位(回数/1分間) |
新生児・乳児 | 110~140 |
小学生・子供 | 70~110 |
中高生 | 50~100 |
一般成人 | 50~90 |
※測定基準値の範囲は検査を行う施設や測定方法・測定環境により異なります。
尚、乳幼児~小学生の子供の場合は、成人よりも速い拍動を示します。
乳幼児の脈拍数は成人と比較すると非常に高い数値となります。
成人と比較すると、脈拍数の基準値の数値は1.5倍以上です。
赤ちゃんや子供の脈が、あまりにも速いことから驚かれる親も多くいることでしょう。
しかし、平均的に子供の脈は速いものですから過度な心配は必要ありません。
尚、正しい脈拍数を測定するには、安静時がベストです。
ですから、子供の脈拍数を測定する場合は就寝中に測定してあげると良いでしょう。
動物は、動物の種類ごとに心拍数の平均値が大きく異なります。
例えば像の心拍数は、1分間に約35~40回程度とかなり低い数値となっております。
人間の心拍数はおおよそ1分間で60回程度ですから、人間に比べると半分に近い数値です。
しかし、小さな小動物。例えばネズミなどの心拍数は非常に速い事で知られております。
ネズミの心拍数の平均値は1分間に、何と300~400回という高い数値です。
また、例えば同じ年代の成人であっても心拍数が大きく異なるケースも存在します。
その代表がスポーツアスリートの心拍数です。
中でもマラソン選手の心拍数はとても低いことで有名です。
これはトレーニングによって心臓が鍛えられ、ランニング中であっても心拍数がそれほどあがらない心臓へ鍛えられている為です。
このような鍛えられた心臓は「スポーツ心臓」と呼ばれ、運動中でも1分間に60~70回程度の心拍数を保つことができます。