心臓は心筋と呼ばれる筋肉組織です。人の意志に頼ることなく運動を続ける筋肉であることから「不随意筋」とも呼ばれております。
対して、力こぶを形成する上腕二頭筋などの自分の意思でコントロールできる筋肉は「随意筋」と呼ばれます。
心臓には「洞結節」と呼ばれるペースメーカがあります。
不随意筋である心臓は、自分の意思を介さずに、洞結節(ペースメーカ)の規則的な電気信号によって心臓を働かせております。
脈拍が継続的に秩序正しく保たれているのは、この洞結節から送られる電気信号が正しく働いているためなのです。
心電図検査では、この心臓の電気信号の波形を「心電針」と呼ばれる装置で読み取り、心臓の拍動のリズムを検知します。
心電図検査によって拍動のリズムに異常が見られる場合は、以下のような心臓疾患を発症している可能性が検討されます。
●不整脈
●狭心症
●心筋梗塞
●心肥大
●心筋症
●心膜炎
●心臓弁膜症
心電図検査では、以上のように拍動のリズムを測定することで心臓に関わる疾患の可能性を調べる目的で検査が実施されます。
定期健診や外来検診で一般的に行われている心電図検査は「12誘導心電図と呼ばれる心電図検査です。
心電図検査では、心臓近辺以外にも人体の各部位に電極を設置し、全身の電気信号を詳細に記録していきます。
その電極の検査を行う部位を「誘導」と呼び、誘導ポイントが12箇所であるのが12誘導心電図検査です。
不整脈の発症要因は、大きく分けると2種類の発症要因に分類することが可能です。
そのひとつ目は、「電気信号の刺激生成異常」による不整脈の発症です。
そしてもうひとつが、「伝導系異常」による不整脈の発症要因です。
前者は興奮などの刺激情報を生成する段階においての問題。
そして後者は、正常に刺激情報は生成されているが、その伝達段階でトラブルが発生している問題ととらえることが可能です。
心臓へ正しい電気信号を送り続ける司令塔となっているのは洞結節です。
この洞結節は司令塔の中でも一番の親玉です。
洞結節で正しい情報の電気信号が生成され、その電気信号は各指令器官へ送られていきます。
しかし、この洞結節が正しい電気信号を生成できなくなった場合は、誤った電気情報が各器官へ送信されてしまう事になります。
このような洞結節そのものに異常が発症しているケースで不整脈は生じます。
洞結節で正しい情報が送信されているにも関わらず、不整脈が生じているようなケース。
このようなケースでは、電気信号を伝達する器官において誤った情報が発信されている可能性があります。
しかし、なぜ洞結節以外から新しい電気情報が発信されてしまうようなことがおこるのでしょうか?
これは心臓がもっている有能なバックアップシステムによるものが要因です。
人間の心臓は、仮に脳の機能が止まっても心臓だけは自立して動くことができます。
また、拍動をコントロールするペースメーカである洞結節からの信号が発信されなくなった場合は、「心房」・「房室結節」などが自分自身で電気信号を生み出し、心臓を動かします。
要は、主力の器官が機能しなくなったとしても他の器官が代役となって活躍するバックアップシステムを構築しているのです。
その為、洞結節以外の伝導系器官においても電気信号を送り出す能力を保持していることがわかります。
この能力が、誤った形で働いてしまうのが不整脈の要因となっているのです。