フェリチンとは、主に肝臓に蓄えられている貯蔵鉄です。
ヘモグロビンは酸素と結びつき、体内の末梢機関に至るまで血液中に含まれた状態で酸素を供給します。
その為、ヘモグロビンがもし不足するような状態が続くと人体は酸素欠乏を起こし様々な症状を発症するようになります。
その酸素欠乏の代表的な症状のひとつが貧血症状ですね。
ヘモグロビンを構成する主力となる成分は鉄分です。
もし、このヘモグロビンの合成に必要となる原料である鉄分が不足すると、ヘモグロビンそのものが生成出来なくなるため貧血症状を発症することにつながります。
そこで活躍する成分が肝臓に常時蓄えられているフェリチンと呼ばれる貯蔵鉄なのです。
鉄分は過剰に摂取した場合、腎臓の濾過機能によって分別され、必要な栄養成分は再利用され、過剰に摂取された分は尿として排泄されます。
その為、鉄分に関しては過剰摂取の心配をそれほどする必要はありません。
しかし、激しい運動や筋力トレーニングなどによって血液中内の鉄分が日常生活を超える範囲で代謝されると、鉄分のストックがなければ体は不調をきたすことになります。
鉄は生物にとって欠かすことの出来ないミネラルのひとつです。
ミネラルはごく僅かしか人体内に蓄積されないにも関わらず様々な活動に必要となり、いざミネラルの体内貯蔵量が不足すると日常生活範囲の行動にも影響を及ぼすミネラル成分の宿命でもあります。
※大量に摂取してもストックできる量は限られている
このように摂取量を極端に増やしても排出されてしまう鉄分の一部は、肝臓に貯蔵鉄として蓄えておくことで一時的に不足の事態に備えることができるようになります。
フェリチン貯蔵鉄として体内に常時蓄えられている鉄分はおよそ900mg~1000mg程度。
決して十分な貯蔵鉄量とは言えませんが、緊急事態に備えるものですから非常に重要な働きを持っていることがわかりますね。
尚、代謝の優先順位は「ヘモグロビンが不足しているよ」と脳細胞からの指令が下されると、直ちにフェリチンが分解され血液中に流出し始めます。
血液中のヘモグロビンはこうしてフェリチンの働きによって常時保たれております。
その為、ヘモグロビン血中量はフェリチン貯蔵鉄のストックがある限り血中濃度が低下することは原理的にはありません。
※フェリチン貯蔵鉄がある限り鉄欠乏性による機能障害は原則おこらない
貯蔵鉄の大半は主に肝臓に備蓄され、残りは脾臓や骨髄に蓄えられます。
では、これらの貯蔵鉄がもし全て無くなるとどうなってしまうのでしょうか?
この場合、残念ながら鉄分の補給を食べ物や、場合によっては点滴などで行うしか方法はありません。
フェリチン(貯蔵鉄)のストックがもし全て消費されてしまった場合でも人体はミネラルを必要とするため、ヘモグロビンを合成しなければいけない鉄分までも使用することになります。
血液中の鉄分である血清鉄が不足すると、ヘモグロビンの合成ができなくなってくるので、人体の各機関へ酸素の供給が十分に出来なくなってしまいます。
この、貯蔵鉄もなくなり、かつ血清鉄が減少しヘモグロビン合成が出来なくなってしまった状態になって初めて発症する疾患のひとつが鉄欠乏性貧血の症状なのです。
常時貧血症状を発症しやすい方の場合は、貯蔵鉄も常時不足していると考えられますので意識的に鉄分を多く含む食品を摂取する必要があると言えます。
検査項目のヘモグロビン検査の項目では ヘモグロビンを増やす鉄分を多く含む食品・食材分類表ではヘム鉄・非ヘム鉄に分類して食材の一覧をまとめてありましたね。
ヘム鉄は動物系食品・魚介類に多く吸収率も高い鉄分の補給に関しては有能な食品群です。
貧血症状を発症している場合は、本人は想像以上に人体的な負担が大きいので、これらの食品を日頃から意図的に摂取するレシピや献立を作成しておくのも良いかもしれません。
貯蔵鉄フェリチンの消費メカニズム | |||
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栄養成分 | 形状 | 貯蔵先 | 消費の優先順位 |
【鉄分の摂取方法】 ヘム鉄系食材・非ヘム鉄系食品やサプリメント、医療機関においては点滴などから補給するケースがある。 摂取された鉄分は血中のヘモグロビン合成の材料として使用、また貯蔵鉄として主に肝臓内部にフェリチンとして存在する。 | フェリチン(貯蔵鉄) | 肝臓(かんぞう) (アポフェリチンと結合しフェリチンとして存在) | 最優先 |
骨髄(こつずい) | 優先 | ||
脾臓(ひぞう) | 優先 | ||
血清鉄 | 血液中 (ヘモグロビンの成分として主に血中内に含有されている) | 最後 |