血液内に存在する血小板の個数を調べるPLT血液検査の他にも、血小板の異常を調べる検査は幾つか存在します。
そのひとつの検査にプロトロンビン検査と呼ばれる血液検査があります。
プロトロンビンとは血液の「凝固因子」のひとつで、血液凝固因子として存在する12個の因子の中でも特に中心的な存在として血液を固める働きを担う成分です。
血液の凝固の仕組みは、まず皮膚や内出血など細胞に傷を負った際に即座に血液凝固因子の第Ⅶ因子が活動を開始します。
この第Ⅶ因子は患部に到達し、すぐに「活性化第Ⅶ因子」へと転化し、第Ⅵ因子⇒第Ⅴ因子⇒第Ⅳ因子という流れに乗って第Ⅰ血液凝固因子である「フィブリノゲン」となり、最終的にフィブリンと呼ばれる物質が生成され、この「フィブリン」が血液を凝固します。
プロトロンビンは、フィブリノゲンのひとつ前にあたる第Ⅱ因子であり、出血を止める際に主要な働きをもつことから、この第Ⅱ凝固因子であるプロトロンビンの凝固時間を測定することで、血小板に異常がないかを測定します。
※プロトロンビンは第Ⅱ血液凝固因子である
血液の凝固因子は大きく2つの系統に分類することができます。
これは内因か外因かの分類です。
【血液凝固因子の分類】
◆内因系凝固因子
◆外因系凝固因子
内因系凝固因子とは、受傷した部位に生じる異物面に接触し血漿中の凝固因子のみで活動を行う凝固因子です。
対して外因系凝固因子とは、血漿中に関与しない細胞組織の因子が混入した際に活動を始める凝固因子です。
私たちの体は、この2系統の凝固因子が相互に関与しあって止血をおこなっておりますが、プロトロンビン時間検査では、主に外因系凝固因子の活動状態を測定する際に検査を行います。
プロトロンビン時間の測定検査では、静脈血を採取し血液の凝固までにかかる時間を測定していきます。
尚、プロトロンビンの凝固時間の基準範囲は11秒~13秒で、血小板に何らかの異常などがあり血液の凝固作用が弱っているような状態である場合はこの測定時間が長くなります。
この検査によって血液凝固因子の欠乏状況を確認できるほか、時間に延長が見られる場合は肝機能障害の可能性も検討されます。
これは、肝臓のたんぱく質の合成が弱っている場合に、時間の延長が見られるためです。
蛋白質の合成能力の低下をもたらす疾患としては、「肝硬変」「肝臓がん」などの肝臓疾患があげられます。
【プロトロンビン時間の基準時間】 | ||
---|---|---|
範囲 | 基準の範囲 | 延長(異常値) |
時間単位 | 11~13秒 | 13秒以上 |
INRパーセンテージ | 80~120% | 13秒以上 |