腎臓の機能が低下し腎不全と診断された場合、人工透析による治療が必要となります。
「ではなぜ透析療法を取り入れる必要があるのでしょうか?」
もし、今現在、人工透析が必要ではない状態であったとしても人工透析について正しい知識をもっておくことは大切です。
これは人工透析を受ける患者数が年々増加していることもひとつの要因です。
今では世界一の長寿国となった日本ですから、腎臓疾患に限らず様々な疾患において高度な治療を受ける患者も年々増えております。
尚、検査の結果、今後透析療法が必要と診断された方も極度に落ち込む必要はありません。
通院などの必要が出てくることから負担は大きくなりますが、何よりも今現在よりも体調を悪化させないことを優先に考え、透析療法の必要性をしっかり確認しておくことが大切です。
まず人工透析について知るには「2つの透析療法」が存在することを把握しておく必要があります。
※人工透析には2つの透析療法がある
透析療法を開始すると基本的に自分の生命が続く限り透析療法を継続的に行っていくことになります。
これは腎不全では腎臓の機能が極端に低下している為、体内の老廃物を体外へ排泄できなくなっている為です。
体内へ老廃物が蓄積していくと、当然人体の様々な器官に影響を及ぼすようになります。
また尿毒症へ進行すると、自分自身の生命の危機も招くことになります。
※尿毒症=体内に毒素が蓄積し生命に危険を及ぼす疾患
このような経緯から腎不全患者はやはり人工透析を欠かすことは出来なくなりますが、ひとつだけ透析を必要としない治療方法が存在します。
その方法が腎臓の移植手術です。
腎臓移植手術では、自分の血縁者(親子・兄弟姉妹)から腎臓を提供してもらう生体腎移植と、腎臓のドナー登録を行っているドナーが不慮の事故や脳死状態などになってしまった際に提供を受ける献腎移植の2種類の腎移植方法があります。
下記表をごらんになられると分かるとおり、生体腎移植ではHLA抗原が一致した場合、基本的に感染症の疑いやその他の疾患の可能性などが確認されない限り腎臓移植手術を行うことは可能です。
生体腎移植では2つある腎臓のうち、片方の腎臓を提供する形が多くなります。
腎臓がひとつになると「果たして正常に腎機能を保つことができるのかどうか?」という点について不安になられる方も多いと思います。
しかし腎機能と言う一面においては提供者の腎臓がひとつになった事によって生活に支障をきたすようなことはまずありません。
※腎臓はひとつでもしっかり機能する
但し、自分自身が残りの片方の腎臓に疾患を生じた場合は、既に腎臓はひとつですからリスクは高まると考えるべきでしょう。
献腎移植に関してもやはりドナーとHLA抗原が一致することがまず最低条件となります。
ドナーとして何かあった時に自分の臓器を提供する意思がある場合は、社団法人日本腎臓移植ネットワークに登録する必要があります。
【腎臓移植手術の種類・提供者・適用条件一覧表】 | ||
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腎移植の種類 | 提供者 | 条件 |
生体腎移植 | 親子 | HLA抗原の一致 |
兄弟 | ||
姉妹 | ||
献腎移植 | ドナー | 社団法人日本腎臓移植ネットワーク登録者 HLA抗原の一致 |