頻脈性不整脈とは、興奮などの刺激による電気信号を発信する「洞結節」と呼ばれるペースメーカの役割を果たす器官以外の部位から、電気信号が誤って発信されることによって脈拍数が高くなる疾患のことです。
心臓は基本的に洞結節と呼ばれる司令塔器官からの信号を受けて拍動を刻みます。
しかし、洞結節からの信号は、「心房」・「房室結節」・「ヒス束」・「右脚・左脚」・「プルキンエ線維」などの伝導器官を経て全身にくまなく信号が配信されております。
この際、この伝導器官から、新たに新しい電気信号が誤って発信されてしまうのが頻脈性不整脈の要因です。
頻脈状態にある患者が、高まりすぎている脈拍を抑制するために使用するお薬を抗不整脈薬と呼びます。
心臓の電気的興奮は、心臓を構成する「心筋細胞」にイオン物質が出入りする際に生じる微量の電気信号となります。
イオンが出入りする際に発生する電流が脈拍を促している原理から、このイオンの出入り口を薬剤の働きによって塞いでしまおうというのが抗不整脈薬が生み出された要因です。
イオンが出入りする穴のことを医学用語では「チャネル」と呼びます。
そしてこのチャネルの通りを抑制する働きをもっている薬剤を「チャネル遮断薬」と呼びます。
この他にも、交感神経の興奮を抑制する働きをもっている「β受容体遮断薬」など頻脈による不整脈を抑制する働きをもつ薬剤は多く開発され有能な効果を発揮しております。
頻脈性不整脈に限らず不整脈の治療を検討する際は、まず今現在治療を行う必要性があるかどうか?
この点を医師に確認する必要があります。
これは、不整脈自体ある程度誰にでもある症状であることが要因にあります。
また、原因をしっかり見極めることで不整脈の治療以外の治療が優先されるケースも出てきます。
例えば甲状腺機能亢進症などによって「頻脈症状」を発症している場合は、甲状腺機能亢進症の治療を行う事で不整脈症状も治まってくるケースがある為です。
ですからその要因となっている疾患の可能性を見極めることも治療の第一段階における重要課題であると言えます。
不整脈の治療を行っていくことを検討する場合、基本的に大きく分類して以下の4つの治療方法を選択してくことになります。
●抗不整脈薬による薬物療法
●カテーテルアブレーション療法
●ペースメーカ療法
●植え込み型除細動器療法
どの治療方法を行っていくかは医師の診断によって決めていくことになります。
薬物療法以外の方法は、全て簡易的ですが体内に器具を挿入する為手術が伴います。
頻脈の治療法は前項で解説したとおり、「薬物療法」・「非薬物療法」によって治療及び予防を行っていくのが基本です。
しかし、これらの治療法は既に頻脈状態を発症している場合に行われる最終的な措置。
もしくは、既に危険要素を含む症状へ発展していく可能性を持っている場合の処置であることを把握しておきましょう。
治療の根本はやはり「生活習慣の改善」から行って行くことが基本です。
例えば、頻脈を引き起こす要因である喫煙などは自己管理で抑制することも可能です。
ニコチンは血管を収縮させる作用があり血圧の低下減少を伴い、次いで脈拍を速くする物質です。
まずは、生活習慣の改善から治療をスタートする。この考えが根底にあることが重要であることは言うまでもありません。