更年期障害という言葉が広く知られるようになりましたが、日本ではまだまだ更年期障害が女性に発症する病気であると思われがちです。
しかし、近年では男性の更年期障害が認識されるようになり、外来でも男性用の更年期外来がある病院も少しずつ増えてきました。
この男性の更年期障害を発症する要因のひとつとして考えられているのがテストステロンの減少の問題です。
テストステロンは男性ホルモンの一種で、一定の年齢から少しずつ加齢に伴って減少する傾向があることが確認されております。
これは女性の更年期障害の発症要因のひとつであるエストロゲンの減少問題と同様の原理です。
但し、年齢や減少の度合いに関しては個人差が極端に大きい為、具合的な治療の指針は確立されておらず、現在はまだ手探り状況であると言えます。
尚、近年は男性ホルモンを直接注射で注入するテストステロン補充療法によって男性更年期障害の症状を緩和する治療が取り入れられるようになってきております。
~ポイントのまとめ~
★男性にも更年期障害は存在する
★テストステロンは加齢と共に減少
★低下・減少の度合いは個人差が大きい
テストステロン補充療法とは、男性更年期障害の症状の緩和を目的として治療の一環で行われる治療法のひとつです。
テストステロンの分泌量は平均的に第二次性長期が終了後の20代前半でピークを迎えます。
そしてその後は加齢に伴って徐々に減少し、60代~70代になるとピーク時の約7割未満にまで減少すると言われております。
この男性ホルモンの低下の影響は大きく、性欲の低下や性機能不全症の発症、そして時にはストレスの蓄積、更に「うつ病」の発症をもたらす可能性がある事も確認されております。
尚、同じ男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)に関しては50代を境に逆に分泌量の増加を招き脱毛や薄毛の要因となります。
テストステロン補充療法はまだ日本では馴染みの低い治療方法ではありますが、米国では既にたくさんの高齢者が当然のように補充療法を受けている治療法です。
また補充療法の効果としては、認知症の防止効果や前立腺疾患の改善効果があることも認められつつありホルモン注入注射の効果の高さも伺えます。
但し、前立腺がんがある場合は、がん細胞を活性化させる可能性もある為、最新の注意が必要です。
補充療法を実践する場合は、必ずがん検査を行い、その他DHEA、甲状腺ホルモンんどの複数のホルモン分泌量のチェックを行った上で総合的に問題が無い場合のみ治療を開始できます。
~ポイントのまとめ~
★補充療法の注射の効果は高い
★米国では一般的な治療法である
★認知症の防止効果も期待