鉄欠乏性貧血は、文字通り体内の鉄分が不足することによって発症する貧血症です。
鉄分と貧血は密接な関係にあることは多くの方がご存知かと思います。
貧血の症状として代表的な症状をまず確認してみましょう。
【貧血症の主な症状】
◆めまい
◆立ちくらみ
◆頭痛
◆吐き気
◆呼吸困難
◆手足のしびれ
◆失神
以上は貧血症の代表的な症状として確認されている症状の一部です。
貧血症の症状を見てみるとわかることがあります。
もう一度前項でチェックした項目を見てみると、どれも酸素の不足によって発症する可能性のある症状であると言う点です。
鉄分が貧血に深く関与している要因は、鉄分が酸素を運搬する働きをもつヘモグロビンの構成元素であると言う点です。
ヘモグロビンが十分な鉄が体内に存在していないとヘモグロビンを正しく合成することができません。
鉄はミネラルであり鉱物の元素でもあることからヘモグロビンの合成の他、生体の酸化還元など様々な作用を人体にもたらす人間にとって不可欠な成分です。
尚、成人の場合、一般的に約3~4グラム程度の鉄分を体内に常時蓄えております。
鉄分は元々吸収率が低いミネラルであり、摂取過剰となった場合、不要な鉄分は体外へ排出されるため、摂取過剰に関してはそこまで神経質になる必要はありません。
しかし、不足時に関してはヘモグロビンと言う大切な成分の合成が十分に行われなくなってしまう可能性が出てくる為、体内の鉄分は常時最低限量の鉄分を保有しておく必要があるのです。
貧血症の多くは鉄欠乏性貧血による貧血症です。
貧血症の発症確立は男性・女性で見ると女性の方が圧倒的に発症確立が高く、慢性的な貧血症を発症しやすいのも女性です。
鉄欠乏性貧血の発症原因には様々な要因がありますが、過度のダイエットや偏食など食事や摂取する食品、食材による影響が大きいとされております。
食材選びのポイントは、鉄分含有率が高い食品を摂取すること。
また吸収率が高いヘム鉄系を多く含む食材を扱うなどのポイントがあげられます。
尚、鉄欠乏性貧血症以外の貧血症には以下のような貧血症があります。
もし自分自身が貧血症を度々発症し、鉄分の摂取などに関しても特に不備が見つからないような場合には、下記一覧表の症状や特徴に思い当たる点がないか一度チェックしておくことをお勧めします。
【主な貧血症の種類と特徴一覧表】 | |
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主な貧血症 | 主な症状・特徴 |
鉄欠乏性貧血 | 血清鉄の減少に伴って発症する鉄欠乏症。貧血と診断される際の大半のケースは、この鉄欠乏性貧血のことを指す。血清鉄の減少を補う為に貯蔵鉄が既に使用された状態であることから、十分な鉄分の摂取が必要。女性の場合は月経時に大量の血液を失うことから一時的な貧血症状を引き起こすが、これも血清鉄を直接失うことが要因。 |
再生不良性貧血 | 造血を行っている骨髄に何らかのトラブルが生じて発症する貧血症状のこと。原因が特定できないケースが大半であり難病として認定されている。遺伝性が確認されている部分もあるが、一部のケースであり骨髄移植などの移植手術以外の治療法においては根本的な改善策が未だ尚確立されていない。 |
鉄芽球性貧血 | ヘモグロビンの合成過程において何らかのトラブルが生じることによってヘモグロビンの生成が出来ないことによって貧血症状を発症する貧血。鉄分の摂取は可能だが、肝心のヘモグロビンの合成が出来ないことから、どれだけ鉄分を多く摂取しても症状が改善されることはない。逆に過剰の摂取はヘモジデローシス(鉄沈着症)の発症要因ともなる為、注意が必要。 |
溶血性貧血 | 溶血とは、赤血球が破壊される現象を指す。溶血性貧血の発症原因は、遺伝などによる先天性のものと、後天性の原因が確認されている。先天性遺伝による溶血性貧血には日本ではほとんど見られない貧血症である以下のサラセミアも該当する。自己抗体の働きによって赤血球を過剰に破壊してしまう疾患には自己免疫性溶血性貧血がある。 |
巨赤芽球性貧血 | ビタミンB12(ビタミンB12欠乏性貧血)及び葉酸(葉酸欠乏性貧血)の欠乏によってDNAの合成に障害が生じることによって発症する貧血症の総称。DNA合成段階においてトラブルが生じているため、正常な形状の赤血球を合成することが出来ず、巨赤芽球が生成されてしまうことから貧血症状に及ぶ。 |
腎性貧血 | 慢性腎不全患者に発症する貧血症。骨髄に造血指令を送るエリスロポイレチンの産生能力が極端に低下することから造血に影響が及びヘモグロビン濃度が低下し酸欠症状、貧血症状を発症する。エリスロポイレチンの生成は肝臓でも行われるが大半の分泌は腎臓であり、腎臓病の合併症として認定されている。 |
サラセミア | 地中海沿岸地域に多く発症した経緯があることから地中海病とも呼ばれる貧血性疾患。遺伝による発症が確認されているが、近年遺伝子の受け継ぎによって発症確立が徐々に減少しているという報告もある。 |