高コレステロール血症とは、総コレステロール値(TC)が高値を示す疾患です。
中でも遺伝的な要因の元にLDLコレステロール値が上昇する疾患を
●家族性高コレステロール血症
と呼びます。
LDLコレステロール血液検査で基準値を大きく超えてくる場合は、まず高コレステロール血症の可能性を検討します。
中でも極端に数値が高まってくる場合は、家族性高コレステロール血症の可能性を検討していきます。
ですから遺伝性が関与するのは家族性・遺伝性の高コレステロール血症となります。
この疾患は遺伝性をもつことから、食生活などの後天的要因に関わらず、動脈硬化や冠動脈疾患を若くから発症する可能性があると言えます。
特に両親から変異のある遺伝子を受け継いでいる場合は、LDLを受容する
●LDL受容体
と呼ばれる細胞が非常に少ない為、LDLがうまく代謝されず血中に残り、常時LDL数値が高値を示すことも大きな特徴です。
その為、動脈硬化の進展も早く冠動脈疾患である心筋梗塞や脳卒中を発症しやすくなるのです。
尚、10代~20代で心筋梗塞を起こすケースの大半は、この高コレステロール血症が要因となっていると考えられております。
LDL受容体とは、血液中に含まれているLDLコレステロールを体内の各細胞へ取り込む際に活躍する細胞です。
LDLは体内の各細胞へコレステロールを運搬する働きをもっておりますが、このLDL受容体が機能することで運搬されたコレストロールを正常に細胞に取り込んでいくことが可能となるのです。
しかし、高コレステロール血症患者の場合は、このLDL受容体にかかわる遺伝子に変異が発生するため
●LDL受容体の減少
●LDL受容体の機能の低下
などの現象を発症するようになり、必要な量を細胞が取り込めず血中にコレステロールが残ってしまうことになります。
このように変異したLDL受容体遺伝子を受け継いだ高コレストロール血症は
●家族性コレストロール血症
と呼ばれており冠動脈疾患の大きな危険因子として注目されております。
高コレステロール血症の診断基準について見ていきましょう。
LDL血液検査で数値が高い数値を示した場合は、高コレステロール血症の可能性を検討していきますが、もちろんLDL値だけで診断を下すことはできません。
ですから高コレステロール血症の診断ではLDL値を参考として各症状のチェックと問診を加えて検討しきます。
問診では、遺伝性疾患でもあることから、まず家族内に同一疾患の患者がいるかどうか?のチェックが最大のポイントとなります。
また、「黄色腫」と呼ばれる独特の症状を発症しやすい傾向にあることから触診やエックス線撮影などを行いながら症状を確認していきます。
黄色腫とは、コレステロールの塊が皮膚の下にかたまる疾患のことで、好発部位としては
●アキレス腱
●肘や膝
などがあげられます。
触診では、アキレス腱の太さを確認し、黄色腫の発生がないかどうかも並行して確認していくことになります。