骨肉種とは、骨にできる悪性腫瘍のことです。
特に肉腫の中でも骨を自ら形成していく肉腫を骨肉腫と呼びます。
悪性腫瘍と聞くと、一般的には癌細胞をイメージする方が多いと思います。
骨肉種も同じ悪性腫瘍による「転移の可能性」をもつ疾患であり、治療では抗がん剤による治療を行うことになります。
癌と肉腫の違いは、細胞が定着した母体となる細胞組織の部位によります。
皮膚及び粘膜組織に発生する悪性腫瘍は「癌」となり、骨や筋肉細胞に発生する悪性腫瘍は「骨肉種」と分類されます。
骨肉腫の発生確率は非常に低く、また自覚症状も弱い為、基本的に本人も医師側もこの疾患を最初から検討することはほとんどありません。
アルカリフォスファターゼ検査では、数値が高い異常値を示した場合に骨肉腫の可能性を検討しますがやはり他の疾患から検討していくことが通常です。
骨肉腫を疑う必要があるケースとしてはアイソザイムの分析でALP3の骨型に分類されるケースです。
ALP検査だけではこの疾患を特定することまずできません。
アイソザイム分析の分類によって可能性を確認後、自覚症状のチェックとレントゲンによる確認。
最終的には骨肉腫を発症している可能性が高い部位の組織を一部採取し組織そのものを調べていくことで骨肉腫と診断されると治療を開始していく事になります。
骨肉腫は原因不明の疾患であり、先天性疾患であるのか?後天性疾患であるのかの厳格な解明は未だなされておりません。
これは症例が少ない点も理由のひとつにあります。
初期段階では自覚症状も少ないことから早期発見が難しく、また10代の子供の膝周りに多く発症する点も発見を難しくさせる要因となっております。
痛みを感じるようになるのは、主に膝周りが中心で、「熱感」や「筋肉痛のような痛み」を自覚症状として訴えるケースが多いようです。
成長期の子供は、成長痛との関連性もある為、本人も回りもなかなか気づくことが難しいのですね。
骨肉腫が要因である場合、本格的に痛みを訴え始めるのは骨肉腫が大きく成長し筋肉組織を押し出そうとしているケースまで成長した場合です。
この段階まで来ると、他の組織への転移がないかどうかを確実にチェックしていく必要があります。
骨肉腫は成長スピードが速い悪性腫瘍です。
骨肉腫が発現後、1年以内に他の器官へ転移する可能性も高く、転移するケースの多くは2年以内にほぼ転移します。
最も転移しやすい部位は肺であり、骨肉腫の転移の半数は肺へ転移し、他の関節や骨、リンパ節にも転移します。
発症部位として多いのは断トツで膝、次いで肩となります。
転移を確実に防止する方法は今のところ確立されておらず、治療では手術によって骨肉腫の切除を行い、薬物療法、化学療法、放射線治療を組み合わせて治療を行っていくのが通常です。
子供が膝の痛みを訴え、骨が大きく飛び出してくるような場合の多くはオスグッド病と呼ばれる疾患です。
しかし、特にスポーツなどもせず、運動量も少ない子供が同様の症状を訴える場合は骨肉腫の可能性があることも覚えておく必要があるでしょう。
~ポイントのまとめ~
★骨肉腫は骨に出来る悪性腫瘍である
★アイソザイム分析ではALP3の骨型の場合に検討
★発症部位は膝が最も多く次いで肩に多い
★転移は1年以内に多く肺に転移しやすい