シェーグレン症候群とは、口腔内の乾燥症状や眼球の乾燥症状など、分泌系の器官に障害が発生する事が原因となってを発症すると考えられている自己免疫性の疾患です。
シェーグレン症候群患者の多くは、
●眼球の疾患
●唾液の分泌の低下
などの症状を発症するケースが多いことが特徴で、長年に渡り様々な症状事例が臨床的に研究されてきました。
シェーグレン症候群の特徴は局所的な症状のみならず全身的な症状を伴うケースも多くある点です。
この症状の多様さが、この疾患の扱いの難解な部分であると言えます。
またシェーグレン症候群はリウマチや膠原病などの病気の合併症として発症するケースが多いことも確認されつつあります。
複数の合併症を伴うケースでは更に症状も多様となり診断基準も難しくなると言えます。
シェーグレン症候群は統計的に
●中年女性
に圧倒的に多く発症する事が確認されております。
最も多い年代としては、
●40代~50代
となっており、男女の比率としては
●男性1に対し女性9
程度の比率で女性に圧倒的に多く発症します。
※シェーグレン症候群の発症確率は女性が約9割を占める
この男女の比率に関しては様々な見解がありますが
●合併症
を要因とする場合、その合併症疾患そのものに対して女性の発症率が高い疾患が多い点なども要因として考えられております。
しかし、発症比率に対する明確な原因は解明されておりません。
シェーグレン症候群の症状の特徴として、眼の乾燥症状の発症があります。
この眼、及び眼球の乾燥症状は
●涙腺(るいせん)の分泌障害
が原因となり症状を発症します。
シェーグレン症候群患者は、涙腺細胞からの分泌物が大きく低下することが知られております。
この分泌物の低下作用によって眼球の潤いが失われてしまうのです。
尚、これらの眼球の乾燥症状を
●ドライアイ
とも呼びます。
シェーグレン症候群の患者の中には、このドライアイ症状を発症しているケースも多く確認されます。
しかし、ドライアイ=シェーグレン症候群ではありません。
ドライアイはシェーグレン症候群の中のひとつの症状と認識する必要があります。
一般的に現れるシェーグレン症候群の症状の特徴としては
●眼のかゆみ症状
●眼の疲労感
●目やにが溜まりやすい
●涙が出にくい
●眼がごろごろする
などの眼の違和感症状が確認されております。
また、シェーグレン症候群の症状が進んだ場合
●眼がまぶしい
という症状を発症するケースも多くあります。
この「まぶしい」という感覚症状は、羞明と呼ばれる症状ですでに炎症が進行している場合に体感する症状のひとつです。
以上の症状が確認される場合は、シェーグレン症候群の可能性を検討します。
シェーグレン症候群の症状の特徴としては、前項で解説した眼の乾燥症状の他にも
●口腔内の乾燥症状
という大きな特徴があります。
この口腔、及び口の中の乾燥症状は
●唾液腺の分泌障害
という大きな特徴があります。
この口腔、及び口の中の乾燥症状は
●唾液腺の分泌障害
が原因となり症状を発症します。
唾液腺とは、文字通り唾液を分泌する機能をもつ器官です。
シェーグレン症候群患者は、涙腺だけでなく唾液腺細胞からの分泌物も大きく低下することが知られております。
この分泌物の低下作用によって口腔内の乾燥症状を発症してしまうのです。
尚、これらの口腔内の乾燥症状を
●ドライマウス症状
とも呼びます。
シェーグレン症候群患者は、このドライマウス症状を発症するケースが多いことも特徴です。
一般的に現れるシェーグレン症候群のドライマウス症状の特徴としては
●喉が異様に渇く(夜中に喉がかわいて起きてしまうなど)
●乾燥した食品が食べづらい
●乾燥によって会話がうまく出来ない(声がかすれてでづらい)
●食品の味がわかりづらい(味覚の低下)
●虫歯の増加
●口臭の悪化
などの症状が確認されております。
中でも、虫歯の増加及び、口臭の悪化は唾液そのものの低下によって唾液がもっている
●殺菌作用
が低下する事によって、
●口腔内の殺菌の死滅率
が低下する為に発症する症状です。
唾液の役割は、一般的に食べ物を消化する役割で知られております。
しかし、細菌の繁殖を抑える滅菌作用としての働きも重要なのです。
シェーグレン症候群の症状は、前項で解説してきた代表的な症状である
●ドライアイ症状
●ドライマウス症状
などの乾燥症状の他にも
●関節痛
などの関節に痛みを伴う症状や、
●膣乾燥症
などの女性特有の症状などの様々な症状が発症する事が確認されております。
その為、明確なシェーグレン症候群の診断基準を医学では解明できていないのが現状です。
しかし、1999年、厚生省は
●シェーグレン症候群の診断基準の指針
として以下の項目を掲げております。
厚生省が発表したシェーグレン症候群の診断基準の指針は大きく分類すると
●4項目
の検査の結果を指針とする事になっております。
この4項目の検査の結果、2項目以上の反応が得られた場合、基本的に
●シェーグレン症候群の可能性が非常に高い
と判断することが可能となります。
厚生省発表のシェーグレン症候群の診断基準の指針の4項目は以下の通りです。
【厚生省発表のシェーグレン症候群の 診断基準4項目の内容】 | ||
---|---|---|
No | 検査・所見 | 検査内容 |
① | 生検病理組織検査 | 顕微鏡による唾液腺及び涙腺の病理精密検査を行ないます。 |
② | 口腔検査の所見 | 唾液腺の造影検査及び唾液分泌量測定検査を行ないます。 |
③ | 眼科検査 | 涙液分泌量測定検査及び結膜角膜障害程度のチェックを行ないます。 |
④ | 自己抗体の検査 | 抗SS-A抗体及び抗SS-B抗体の血液検査を行ないます。 |
以上、大きく4項目の検査を行う診断基準が定められております。
尚、4項目の検査中
●2項目以上
の反応が確認されるとシェーグレン症候群と診断されることとなります。
シェーグレン症候群の名前の由来は、スェーデンの眼科医である
●ヘンリック・シェーグレン
の名前からつけられたのが、この病気の名称の由来です。
ヘンリック氏は、この病気の複雑な症状を研究し、1933年に
●乾燥性角結膜炎
として学位論文を発表しました。
ヘンリック・シェーグレンの有名な生い立ちを補足までにご紹介します。
シェーグレンは、1899年、スウェーデンのコーピングという首都ストックホルムの西方に位置する小さな田舎町に誕生します。
その後、スウェーデンのストックホルムにあるスウェーデンの最大の研究教育機関である
●カロリンスカ研究所(カロリンスカ医科大学)
にて眼科医としての医学の基礎を身に着けていきます。
※カロリンスカ研究所の有名な卒業生としては1955年にノーベル生理学・医学賞を受賞したヒューゴ・テオレルなどがいる
眼科医として研究を続けたシェーグレンは
●Keratoconjunctiviti Sicca
という題名の後に脚光を浴びる事となる医学論文を発表します。
この医学論文は実に19の症例をもとに書き上げられたものでした。
しかし、この論文は、この病気のあまりにも幅が広く、不確定要素の多い症例から当時の医学会で認められることはありませんでした。
シェーグレンは、医学会の冷たい反応にもめげずに、その後も研究を続け生涯をかけてこの病気の研究を続けることとなります。
このシェーグレンの地道な研究の成果によって、未だ解明できない部分はあるものの、シェーグレン症候群の医療基礎が出来上がったのです。